怒り、感想

怒りという映画を見た。

元々知ってはいたけれど見逃していてちょうど旧作になっていたのを発見したので。


八王子で起こった殺人事件と3つのストーリーが全く違う場所で進行するのだけど、3つのストーリーにそれぞれ出てくる素性の知れない男三人を疑いながら見ていたのでドキドキした。

素性の知れない男役の綾野剛さん、森川未来さん、松山ケンイチさんが三人とも三様に怪しくまた似ていて感動。

三人とも疑ってしまった。

妻夫木聡さんと綾野剛さんの絡みが、美しかった。特に雨の降る窓を見る綾野剛さんに寄り添う妻夫木聡さん、という絵面は圧巻である。チャラチャラしていそうだが、どんどん弱っていく母親に寄り添う彼は誠実だと思った。

綾野剛さんが作中口にする

「信じてくれてありがとう。」がとても良い。

池脇千鶴さんの「いい加減にしなさいよ。」母から言われるトーンと似ていてビクリとした。

そして何よりこの映画において素晴らしかったのが広瀬すずさんである。

物語に溶け込む違和感のない演技がすごかった。すずさん演じる泉ちゃんのシーンはつらくて苦しくて正直直視するのがキツかった。救いがないといってもよいくらい。佐久本宝くん演じる少年に本当に腹が立ってしまった。もちろん彼だけが悪いわけではないし怖かったんだと本当にわかる。

いや、それでも助けてあげて欲しかった。何かはして欲しかった。泉ちゃんの気持ちを考えるとやるせないし許せない。ラストシーンで泣いてしまった。1番伝わる怒り、だった。ネタバレになるため誰かは伏せるが、殺人犯が二、三度ウケる、という言葉を口にするのだが、真っ向から怒りを感じられることは大切なことなのかなと。

人を信じることの愚かさと正しさ。

人を疑うことの愚かさと正しさ。

相反するようだけど、どちらも感じた。

難しくてまだまだ考えたい作品。